泌尿器科解体新書

第18回 高齢者の夜間頻尿について

 若い時には夕方ビールを飲んでも夜間は起きることなくぐっすりと眠れるものです。しかし歳をとると、さほど水を飲んでいなくても排尿のために夜間起きるようになります。

 夜間1回以上排尿に行くことを、医学用語では〝夜間頻尿〟といいます。1回ならまだしも、2回3回あるいはそれ以上起きるようになると、睡眠も不十分となり泌尿器科に相談に来る方が多くいらっしゃいます。

 夜間頻尿のタイプ(原因)はいくつかあって、患者さん一人ひとりでタイプを明らかにしてから治療をする必要があります。

 第1のタイプは夜間多尿型です。これは昼間の尿量はむしろ少なく、夜の尿量だけが多くなるために起きるものです。身体の様々な器官の老化が綜合的に作用して夜間多尿になると考えられています。

 第2のタイプは膀胱容量低下型です。これは膀胱の容量が機能的に小さくなって頻尿になるものです。したがって夜だけでなく昼間にも頻尿が見られ、尿意切迫感や尿失禁を伴うこともあります。

 第3のタイプは睡眠障害型です。これは睡眠が浅く不眠傾向のために夜間頻尿になるものです。このタイプは決して多くありませんが、睡眠を改善させることで頻尿は解消します。

 第4のタイプは多飲多尿型です。これは単に水分の摂取量が多いために昼も夜も頻尿になるものです。〝血液のドロドロ防止〟のためと称してマスコミなどが盛んに飲水を勧めた結果、近年このタイプが増えてきています。しかし最近では、飲水過多は決して〝血液ドロドロ防止〟にならないことがわかって、健康雑誌やテレビがかつて誤った報道をしたことの弊害と考えられています。

 この件については次回で改めてお話しいたします。

泌尿器科診療と血液透析

泌尿器科診療では、特に前立腺肥大症の診断治療、女性尿失禁の診断と治療、投稿年の排尿障害の治療、血液検査、神経因性膀胱の治療、腎不全の治療、前立腺癌、膀胱癌、腎臓癌などの泌尿器科系癌の検診と治療コンサルタントなどに力を入れております。

血液透析は日中および夜間に行なっております。
すでに透析を導入されている患者さんでも、交通の便などから当院での透析治療を希望される方はご相談ください。