泌尿器科解体新書

第27回 「過活動膀胱」の治療薬について

 前回は、過活動膀胱とは尿意切迫感のある状態であること、そして新薬の開発と同時に過活動膀胱という新しい言葉が使われはじめた、というお話をいたしました。今日は、その治療薬についてお話ししたいと思います。

 過活動膀胱に対して以前から使われている薬は、抗コリン薬という種類のものです。この薬は、尿意切迫感や切迫性尿失禁を緩和しますが、人によっては、口渇や便秘などの副作用が生じるという問題がありました。

 そこで、これらの副作用が少ない薬が最近開発されました。それはβ3刺激薬という種類のもので、効果は抗コリン薬と同様ですが、副作用の少ない薬になっています。長年、口の渇きや便秘を我慢しながら薬を使っていた人には、大きな福音となりました。ただし、頻脈性不整脈をお持ちの患者さんでは使えません。

 これらのすぐれた過活動膀胱治療薬のおかげで、過活動膀胱は以前よりずっと治りやすくなりましたが、それでもすべての患者さんが満足できるものではありません。たとえば潜在的な神経因性膀胱や前立腺肥大症などにより残尿が多く残る患者さんでは、こうした薬の効果は期待できません。また残尿がないにもかかわらず、薬では抑えることのできない難治性過活動膀胱の患者さんも時々おられます。そのような内服薬抵抗性の過活動膀胱に対しては、個々の患者さんに合わせた、きめ細かい対応が必要になりますので、排尿障害の専門医にご相談されるのがよいと思います。

泌尿器科診療と血液透析

泌尿器科診療では、特に前立腺肥大症の診断治療、女性尿失禁の診断と治療、投稿年の排尿障害の治療、血液検査、神経因性膀胱の治療、腎不全の治療、前立腺癌、膀胱癌、腎臓癌などの泌尿器科系癌の検診と治療コンサルタントなどに力を入れております。

血液透析は日中および夜間に行なっております。
すでに透析を導入されている患者さんでも、交通の便などから当院での透析治療を希望される方はご相談ください。